KQ4のブログ

地方で暮らす、30代男性の日々の色々なこと 教育→小売→福祉と転職

感想 小野寺史宜「縁」

短編集。
これまでに読んだ「ひと」「まち」の主人公とは違い、情けなさやトゲや引け目を持った登場人物が多い。
「針」の主人公なんかはまさに関わりたくないタイプ。

ちょっと面食らった部分もあるけれど、リズムのある文体と軽妙なユーモアを感じる。
登場人物の視点が変わると同じセリフでも背景が分かってくる部分、こちらのとらえ方も変わってくる。
すごく当たり前だけど、
「人って色々あるよね」と思わされる。

最後の「終」の短い文章で、これまでつながってきた縁が、登場人物を前向きにしてくれるような、そんな読後感を覚えた。
それはもちろん、読んでいるこちらの気持ちも前向きにしてくれるものだと思う。

「ついてないな」「うまくいかないな」そんなことを思うときに読んでみるとお勧めかもしれません。