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レビュー「話を聞く技術 話を聞いてもらう技術」

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とても優しい本だった。
タイトルからして、いかにもハウツーものを想像しがちだが、そうではない。
以下、要点を取り出しながら、自分の考えをまとめていきたい。

〇心の欠乏を埋めるには、「聞く」ことが大切。
でも、欠乏している人にとって、他者は皆敵に思える。
なぜなら、誰も話を聞いてくれないから。
「孤独に介入しようとすると、人は孤独になる」
さらに、当事者であればあるほど、話を聞くのは難しくなる。そこには利害が生じてしまうからだ。

〇話を聞ける関係になるためには、「時間をかけること」が必要。
「人間的に見守られる時間は、少しずつ心を修復してくれます」

〇人の話を聞くためには、人に話を聞いてもらうことが大切。当事者ではない、第三者に話を聞いてもらおう。

以上が要点。
どれも共感できる内容だった。
過去に一番キツい職場で働いていたが、その時は誰にも相談をできなかった。
単純に時間がなさ過ぎた。
時間がないことには話を聞くどころか、聞いてもらうことなどとてもできない。
本の中では、他者が敵になるというが、自分の場合は自分が敵というか、とにかく自己否定感にばかりとらわれていたように思う。
反対に、キツいところでも話を聞いてもらえるとなんとか続けることができた。
友人には感謝だな…と改めて思う。

話を聞くためには話を聞いてもらうというのも共感をもった。
福祉現場で支援員として働いていたが、支援する側が支援されないと、いい支援なんてとてもできない。
でも、現場では問題が常に起こり、現実に対処するので精一杯だった。
今思うと問題ばかり起こす人も、欠乏から怯えていたのかもな…と思う。

最近、家族間の仲立ちをすることがあったが、自分が第三者となって介入することもそれなりに意味があったのかもしれない。
ただ、当事者でもあるので、完全に中立といかないのも辛いところである。
職場でもひたすら愚痴をこぼす方がいるのだけれど、皆第三者がいないのかも…孤立しているのかも…と感じた。

かくいう自分も愚痴をこぼすことはあるわけで、「聞く」と「聞いてもらう」を車輪のようにまわしていこうと思った。

その時に、批評やアドバイスはなるべく控えたい。
疲れてきたり、どうしても共感できなかったりすると自分の意見を挟みがちになる。
でもなぁ、共感できないものはしゃあないやん、というところでやはり人の話を聞くのは難しいな、と考えた。

最後に、一番印象に残った言葉を。
「心にとって真の痛みは、世界に誰も自分のことをわかってくれる人がいないことです」

はけ口がどこにもない人へ。
人から愚痴ばかり聞かされて辛い人へ。
孤独(孤立)を感じている人へ。
孤立を感じる人を助けたい人へ。

お勧めです。